理事長ご挨拶
理事長ご挨拶
社会福祉法人東京聖労院 理事長 和田 敏明
東京聖労院誕生は、東京浅草において生活困窮者を収容保護する救済事業を始めた大正15年にさかのぼります。『世の落後者、浮浪者といえども人間に変わりはない。にもかかわらず、世間では顰蹙(ひんしゅく)するのみで救済の道を講じない』『人間としての使命がどこに果たされているのか』という思いにつきうごかされ、彼らの相談相手になったことから歩みが始まりました。 社会福祉の制度が存在していなかった時代に、ほっておけない、こんなことで良いのかという、熱く高い志で、事業を始めた創設者たちの志に思いをはせ、受け継ぐ努力を96年に亘り継続し、常に社会が求める事業に取組んでまいりました。戦後は生活保護法の更生施設、母子寮の経営を行い、その使命が終了したのちは、1996年から、特別養護老人ホームの経営等高齢者福祉、さらに2003年からは児童関係の事業を進め、今日では、都内4つの区市で特別養護老人ホームとそこを拠点とした高齢者福祉事業と、2つの区で児童館、学童クラブ等の運営を行い、事業所14か所、働く職員は700名あまりになっています。
このような法人のあゆみは、現在、法人が「存在意義」として掲げている「東京聖労院は、『その時代時代の福祉課題』に『無私無欲』『先駆性』『開拓性』の精神で果敢に取り組み、その成果を以って公の利益に資するものとして存在します」との 宣言が、文字通り実践に裏付けられたものである事を示しています。
東京聖労院は「四恩報謝」〈天地、父母、国、衆生の恩に報い、感謝する心〉の教えに根本を置いた「聖労」(報いを求めない聖き労働)を実践し、「地域とともに育つ」事を忘れず、社会福祉の目的の実現をめざす事を基本理念としています。さらに、その基本理念を具体化した7つの行動指針を定めています。「ご利用者の満足を我々の喜びとし、ご利用者が安心し、ご利用者に信頼される福祉サービスを提供します」「職員を『人財』として尊重し、職員満足の向上に取り組みます」「地域に根差し、地域に信頼され、地域に支援される施設づくりを行います」等をその内容としています。基本理念と行動指針に基づく働きを日々行うのは、700名を超える職員です。職員はまさに法人の財産である「人財」に他なりません。職員の日常の働きと法人をお支えいただいている役員、地域の方々、行政などと力を合わせ、利用者やご家族、地域、社会のために働き、利用者やご家族、地域、社会から必要とされる法人として事業を進めていきたいと願っております。
現在、社会福祉法人は、地域のニーズにきめ細かく対応し、事業を積極的に地域に展開することにより、喫緊の課題となっている地域包括ケアシステムの構築において中心的な役割を果たすことが期待されています。公益性と非営利性を備えた民間法人である社会福祉法人として、東京聖労院はこの期待に応え、役割りを果たしていく所存です。ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
略歴
社会福祉法人 全国社会福祉協議会 理事・事務局長、
ルーテル学院大学教授を経て
現在、ルーテル学院大学 名誉教授
公益財団法人 鉄道弘済会 非常勤理事
公益財団法人 大和証券福祉財団 非常勤理事
社会福祉法人 調布市社会福祉協議会 理事
山口県山口ふるさと大使
ルーテル学院大学教授を経て
現在、ルーテル学院大学 名誉教授
公益財団法人 鉄道弘済会 非常勤理事
公益財団法人 大和証券福祉財団 非常勤理事
社会福祉法人 調布市社会福祉協議会 理事
山口県山口ふるさと大使
前理事長あいさつ
いのちの輝きを奪ういたましい事件が、連日のようにマスコミを賑やかしています。 いつの時代も、人のいのちはかけがいのない大切な宝です。 そして、ひとりひとりのいのちは、いのちあるすべてのものが、ともに心を通わせ、助け合って、ひかり輝くものです。 今、いのちの熱いまなざしを感じませんか。 私たちは、大正の末期から人のいのちの翳りに目を向けはじめ、昭和3年2月11日に豊島区雑司ヶ谷で、東京聖労院の産声を上げました。 貧困が人のいのちの輝きを奪い、まだまだ、国全体のやさしさが乏しい時代でした。 戦争が終わり、昭和27年、私たちは社会福祉法人として多くの人のいのちのために尽くす使命をあらためて羅針盤とすることになりました。 しかし、その後も、貧困の問題は様々な様相を呈し、大切ないのちを脅かしてきました。 私たちは、その時その時の時代の要請を敏感にキャッチし、平成8年には、高齢者福祉の分野へ、そして、平成15年からは、児童福祉の分野へと問題意識の眼を向け、現在は、少子高齢化のもとでの人のいのちと人生のあり方のすばらしさを求め続けています。 東京聖労院の「聖労」は、営利を優先せず、人のいのちに尽くす聖(きよ)き労働を現わし、それを体現する300を超える職員は、まさに法人の財産である「人財」に他なりません。 そして、法人の先人が創設の心とした「四恩報謝」は、人はひとりでは生きられず、「天地」「父母」「国」「衆生」の四つの大きな力の懐にあることに気づき、生かされていることに感謝する自己覚醒と共生の理念です。 また、こうしたことから、「地域とともに育つ」ことを願い、ともに心を開き、心を通わせ、助け合う燃える地域を常に共創のよき伴侶としていきます。 80年歩んでも、たどり着きて、いまだ山麓。道半ばも行かない思いです。 いのちは、みんながひとつずつ持っている大切な宝です。そのいのちが輝くためには、人に光が満ち溢れ、地域のコミュニティに熱があることが必要です。 私たち東京聖労院は、いのち輝く明日を拓くため、 「働く喜びと成長の光があたる職員満足なくして、利用者満足なし」 「幸せへの共同と協同の熱気息づく地域満足なくして、利用者満足なし」 「社会福祉の進歩に献身する経営満足なくして、利用者満足なし」 を旨とし、今後も、共生と共創のための地道な努力を積み重ねていきたいと思います。前理事長 浜 園子
令和2年1月2日に永眠されました。